ニュース詳細

まちの紹介

まちの植物観察日記~「シャリンバイ」~

この季節、みなとアクルスでもどんぐりをはじめ、様々な植物が実りの時期を迎えています。その中で、今回ご紹介するのは“シャリンバイ(車輪梅)”です。

シャリンバイは、5月ごろに白い花を咲かせます(写真2枚目)。秋にはブルーベリーのような実をつけますが、渋みや苦みを感じさせる「タンニン」という成分を多く含むため、ムクドリなどの鳥は食べても、人間が食べるのには適していません。

このタンニンを、シャリンバイは樹皮にも多く含んでいます。その樹皮を煮出した染料で染めた糸で織り上げられるのが、「ゴブラン織」(フランス)、「ペルシャ絨毯」(イラン)と並び、世界三大織物の一つと言われる「大島紬」です。

「いつかは大島紬を…」と、着物愛好家から憧れられる大島紬は、奄美大島の特産品です。古くは、大島紬の源流をなす褐色紬が正倉院の宝物殿に収蔵されていた記録があり、江戸時代には薩摩藩の献上品として指定されました。藩が流通と利益を独占するため、現地島民の着用が禁止されていた時代もあったと伝えられています。

私たちにとって身近にある植物が、日本の歴史ある伝統文化を支える重要な役割を果たしているとは驚きですね。シャリンバイを見る目が、少し変わりそうです。
シャリンバイは、ビオトープの他、アクルスロードやCOMTEC PORTBASEの植栽エリアでもご覧いただけます。みなとアクルスにお越しの際は、ぜひ探してみてくださいね。